33:  鬼女事件簿 2019/03/06(水)23:29:40 ID:1vb.1g.nt [1/1回]
先日、実家に帰省した時の話。
だいぶ前に大叔父が亡くなり、このたびcという。

そのとき、祖父が「こんなものを見つけた」と、勲章を六つほど見せてくれた。
なんでもそれらは軍人ではないが公務に携わっていた曾祖父が貰ったもので、勲八等瑞宝章、勲七等瑞宝章、
昭和大礼記念章などなど。瑞宝章の勲八等と七等は現在では廃止されていて勲章の等級としてはそれほど高い
ものではないと思うが、たった一枚だけある曾祖父の写真のむねを飾っている勲章の現物がこれだと思うと、俺はやや興奮気味。
しかし、そんな俺を見て祖母が一言。

「そんなおもちゃみたいなもん、一銭の価値にもなりゃしない。捨てちまえばいいのに」

たしかに戦時中に造られたからなのか、材質も俺が見てもわかるほど良くはないし、塗装も剥げてるところがある。
しかし、材質やお金の価値云々ではなく、うちの先祖に勲章を貰った人がいるという事実そのものが価値じゃないだろうか。
それを軽々しく「捨てちまえ」と言えるその神経がスレタイ。

さらに、なんと日本刀も出てきたという。
しかし、鞘も鍔も柄もなく、剥き身のまま新聞紙に包んであったという。
ただ、その刀は脇差しサイズの「備前長船」。
俺は現物は見ておらず、まだ大叔父夫婦の家にあるそうなのだが、それについても祖母は

「あんなでっかい包丁なんか、置いておくだけ危なくてしょうがねえ。屑鉄に売れば二束三文だべ」

いやいや、備前長船なんて刀に詳しくない人でも名前ぐらいは知ってる名刀でしょ。
備前長船も色々あるらしいからどれほどの価値があるかもわからないけど、それを包丁だの屑鉄だの……。

そこまで要らないと言うなら俺自身が欲しいくらいだが、残念ながらうちには小さい子がいるのでさすがに
危ない。なのできちんと登録をして、白木でもいいから鞘を造って、誰が貰うかはともかくとして
「ちゃんとした」方がいいと力説するも祖母の「危ねえ」「役に立たねえ」「価値もねえ」という考えは
変わらず。祖父と「価値がわからんというのは怖いねぇ」としみじみ頷き合った。

いまのところ、備前長船については保留中らしい。